JPモルガンは2日公表したレポートで、ストラテジーが正式化したビットコイン売却方針「BTC収益化プログラム」が仮想通貨市場に「回避可能な双方向リスク」をもたらしうると分析した。ザ・ブロックなどが報じた。
BTC収益化プログラムは、ストラテジーがビットコインを売却して最大12億5,000万ドルの米ドル準備金を積み増し、優先株の配当支払いや社債利払い、自社株買いに充当することを可能にする仕組みだ。同社は準備金の最低維持目標を優先配当・利払いの12ヶ月分と定めており、6月28日時点の残高は25億5,000万ドルで約17ヶ月分に相当する。
レポートを主導したマネージングディレクターのニコラオス・パニギルツォグル氏は、株主価値の希薄化を招いても普通株を発行して準備金を拡充する方が望ましいと主張し、「投資家がストラテジーの近い将来のビットコイン売却を懸念しなくて済む水準まで準備金を積み増すには、24〜36ヶ月分の配当・利払いを賄える現金残高が必要だ」と述べた。
ストラテジーはビットコイン84万7,363BTCを保有し、総供給量の約4%を占める。今年のビットコイン購入コストは137億ドルに達しており、JPモルガンが推計するデジタル資産全体の純流入額の約70%に相当する規模だ。
同社の規模から、買い手と売り手の両方になり得る状況が市場に余分な双方向リスクをもたらすとJPモルガンは指摘。ボラティリティの上昇がストラテジー自身の株式・社債発行コストを押し上げ、将来のビットコイン購入能力を損なうと分析した。
ストラテジーは5月26日〜31日にビットコイン32BTCを売却し、優先配当の支払いに充てたと6月1日の届出で公表した経緯がある。「買い続ける企業」が売却に踏み切ったとの受け止めが広がり、ビットコイン価格は下落した。折しも米FRBの利下げ期待が後退していた時期と重なり、下落圧力がさらに強まった。
機関投資家による仮想通貨購入の主要な受け皿である米国のビットコイン現物ETFも6月に資金流出が拡大し、13日連続の純流出を記録した。月間純流出額は40億ドルと過去最大規模に達しており、年初来の累積純流入額もマイナスに転じた。
JPモルガンは、下半期の仮想通貨市場の回復には二つの条件が必要との見方を示した。ストラテジーが準備金を24〜36ヶ月分まで積み増すことと、米クラリティー法案が成立することだ。同行の分析チームは、これらが整えば現在の弱気センチメントが「強気の逆張りシグナル」となる可能性があると付け加えた。
一方、仮想通貨運用大手グレースケールのリサーチ部門は、優先株配当率の引き上げよりも30億ドル超相当のビットコインを売却して2年分の現金支払い義務を賄う方が、市場の信頼回復につながる可能性が高いとの考えを明らかにした。
関連: ビットコイン(BTC)の今後・将来性【2026年6月】有識者7名の価格予測と2030年シナリオ


