米民主党の上院議員5名は23日、トランプ一族の仮想通貨企業ワールド・リバティ・ファイナンシャル(WLF)へのアラブ首長国連邦(UAE)側からの5億ドル投資について、共和党の各委員会委員長に対し「直ちに公聴会を開催すること」を求める書簡を送付した。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じた。
書簡に署名したのは、リチャード・ブルメンソール、エリザベス・ウォーレン、ゲイリー・ピーターズ、ディック・ダービン、ロン・ワイデンの各議員で、それぞれ調査・銀行・国土安全保障・司法・財政委員会の筆頭野党議員にあたる。公聴会の開催には共和党の賛成が必要だが、共和党議員は今のところこの取引を公式に批判していないとされる。
問題の取引は今年2月にWSJが報じたもので、UAEのタフヌーン・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン国家安全保障顧問の関係者が、トランプ大統領就任4日前にWLFの株式49%を5億ドルで取得する契約に署名したと伝えられた。
契約書にはエリック・トランプ氏が署名しており、代金の半額が前払いされ、このうち1億8700万ドルがトランプ一族関連企業に、少なくとも3100万ドルがスティーブ・ウィトコフ氏の親族関連企業に送金されたとされる。
ウィトコフ氏はWLFの共同創設者で、後にトランプ政権の中東特使に任命された人物だ。WLFの最高経営責任者(CEO)は現在、ウィトコフ氏の息子ザック氏が務めている。
民主党議員は書簡の中で「この一連の出来事は、トランプ一族の仮想通貨企業に投資したことでUAEが米国の安全保障を犠牲にしてさらに何を得たか、またはすでに何を得たかという疑問を提起する」と訴えた。この取引から数カ月後、トランプ政権はUAEに対し最先端AIチップへのアクセスを認めるフレームワークを発表しており、バイデン政権期には対中関係への懸念から同チップの供給がほぼ停止されていた経緯がある。
同日公表された上院銀行委員会の民主党報告書は、WLF取引後にUAE投資家が受けた利益とされる政策上の動きを列挙した。報告書は、タフヌーン氏が率いるMGXがTikTokの米国事業15%を取得した件について1月に承認が下りたこと、ならびにMGXが一部出資するバイナンスの創業者チャンポン・ジャオ(CZ)氏が10月に恩赦を受けたことを挙げ、「前例のない利益誘導の可能性がある」と指摘した。
ホワイトハウスのアナ・ケリー報道官は「トランプ大統領の事業は子供たちが管理する信託に入っており、AIチップのUAEへの提供はワールド・リバティ・ファイナンシャルとは無関係で、米国にとって最善の選択だ」と反論した。ホワイトハウス顧問のデービッド・ウォリントン氏は、ウィトコフ氏がWLFから持ち分を手放したとしており、「大統領は憲法上の職責に関わる事業取引に関与していない」と述べた。
一連の動きは、仮想通貨業界に初めて連邦規制を導入することを目指すクラリティー法案の議会審議が進む中で起きている。民主党議員の一部は、トランプ一族の仮想通貨事業に絡む利益相反に対処する倫理規定が盛り込まれない限り、同法案を支持しないとの立場を示している。トランプ大統領一族の仮想通貨関連事業での収益は、WSJによると10億ドルを超えるとされる。
チャック・グラスリー上院司法委員長(共和党)の報道官は、書簡について「偽善的だ」と批判し、バイデン政権下での腐敗疑惑に対する民主党の態度を問題視した。


