米投資銀行バーンスタインは5月18日付のクライアントノートで、米上院銀行委員会が5月14日に15対9の採決で通過させたクラリティー法案の利回り妥協条項が、USDC発行企業サークル社の事業モデルを構造的に有利にすると分析した。ザ・ブロックが報道した。
同法案の妥協条項は、受動的なステーブルコイン残高に対し銀行預金と実質的に同等の利息を支払うことを禁じる一方、取引・決済・利用実績に連動した報酬は明確に認める内容だ。
バーンスタインのガウタム・チュガニ氏率いるアナリストチームは、サークルはUSDC残高に直接利回りを提供しておらず、コインベース等のパートナーが利用実績連動型の報酬プログラムを運営するモデルがこの条項で保護されると指摘する。
バーンスタインは、この条項が利率競争によるシェア争いを封じ、流動性の低い発行体が高利回りで顧客を獲得する手段を排除することで、サークルのフロート収益モデルの持続性が確保されると論じた。
米ドル裏付けステーブルコインの総供給は5月18日時点で過去最高の3,000億ドルを超え、テザーのUSDTが最大シェアを持ち、USDCが2位。両者で供給全体の約97%を占めている。
バーンスタインが次の成長段階として注目するのが人工知能におけるエージェンティック決済だ。ソフトウェアがステーブルコインで他のソフトウェアに支払うオープン規格「x402プロトコル」は2025年5月の開始以来、累計1億1,200万件の取引・1,600万ドルの決済量を記録し、USDCがx402決済の99%以上を処理している。
一方で、クラリティー法案の最終成立には依然3段階の立法プロセスが残る。上院本会議での可決には60票が必要で、ポリマーケットは今年中の成立確率を62%、TDコーウェンは今年中の成立確率を40%と算出。民主党のルーベン・ガレゴ議員は公職者の仮想通貨利益相反に関する倫理条項が解決しない限り反対票を投じると明言した経緯がある。
なお、仮想通貨取引所ジェミナイによると、上院は30日以内に本会議採決を行う見通しだが、記者エレナー・テレット氏は「可能性はもちろんあるが確定ではない。財政調整法案・FISA・農業法案との議事時間の競合がある」と指摘しており、成立時期の見通しは流動的だ。


