米国のトム・ティリス上院議員(共和党)は16日、米国内の仮想通貨の市場構造を定める「クラリティー法案」の焦点であるステーブルコイン利回りに関する草案の一般公開を来週以降に延期する方針を明らかにした。ポリティコが報じた。
ティリス議員は、草案のテキストを公表する前に、上院銀行委員会での「マークアップ(法案採決を目的とした審議)」の正確な日程が確定することを求めており、現在は採決スケジュールの透明性を優先して調整を行っている段階だという。
公開を遅らせる背景として、ティリス議員には公式な採決日がカレンダーに記載される前に条文を公に晒すことを避け、銀行業界など反対勢力による過度な精査や、修正要求といった工作を許す時間を最小限に抑える戦略的な意図があると報じられた。
クラリティー法案の最新の草案では、仮想通貨取引所口座内の「単なる放置残高」への利回り付与を禁止する一方、決済や流動性提供、DeFi利用などの「活動」に応じた報酬は許容する方針を維持しており、この調整が既存の取引所の収益構造を左右するものだ
全米銀行協会(ABA)はステーブルコインの利回り提供が銀行預金の流出を招き、伝統的な金融システムを構造的に破壊すると猛反対している。これに対しホワイトハウスの大統領経済諮問委員会(CEA)は、利回り禁止による銀行融資の増加はわずか0.02%に留まるとの反論データを提示している。
トランプ大統領の最高仮想通貨顧問を務めるパトリック・ウィット氏やスコット・ベッセント財務長官もクラリティー法案の早期成立を追求しており、ホワイトハウスはAI時代の米ドル覇権維持という安全保障上の観点からもデジタル資産のルール整備の加速を支援している。
銀行業界と仮想通貨業界が歩み寄るための妥協点を見出せるかが最大の懸念事項であり、中間選挙が本格化する2026年8月までに上院でクラリティー法案の採決を完了できるかどうかが、今年の仮想通貨市場における最大の注目ポイントとなる。


