スコット・ベッセント米財務長官が仮想通貨市場の構造を定める「クラリティー法案」の早期可決を上院に求めたことを受け、コインベースのブライアン・アームストロング最高経営責任者は10日、同長官の主張への賛同をXで表明した。
ベッセント氏は8日、ウォール・ストリート・ジャーナルへの社説寄稿にて、デジタル資産のルール整備が米ドル建てのイノベーションを国内に留めるために急務であると訴えた。同氏は翌9日、上院銀行委員会に対し、法案の最終審議を速やかに行いトランプ大統領の署名へと繋げるようにXで強く促しており、アームストロング氏の返答はこれに呼応したものだ。
コインベースとアームストロングCEOはこれまで、ステーブルコイン保有者への報酬支払いを禁止する条項に強く反発し、最新の条文案に対して支持を保留してきた。同社は2025年の決算で13億5,000万ドルのステーブルコイン関連収益を計上しており、報酬規制がユーザーの保有動機を削ぎ、自社の分配収益を圧迫する可能性を懸念していた。
一方、ベッセント氏はWSJの記事で、規制の不明確さが仮想通貨企業のアブダビやシンガポールといった国外への流出を招いている現状に警鐘を鳴らしている。包括的なクラリティー法案の承認により、次世代の金融イノベーションを米ドルのレール上で実現し、米機関の支えによって主導権を確保できると分析した。
アームストロング氏は、超党派の議員やスタッフによる数ヶ月間にわたる法案の強化に向けた努力に対し、深い感謝の意を示した。同社のポール・グリュワル最高法務責任者も、ステーブルコインの利回りなどの主要な論点について合意が「非常に近づいている」と述べ、法制化に向けた前向きな進展を示唆している。
また、シンシア・ラミス上院議員は、4月後半にも上院銀行委員会で法案のマークアップ(最終審議)が行われるとの見通しを先週明らかにした。ただし、分散型金融(DeFi)の規制や政府高官による仮想通貨保有の制限規定など、調整が必要な未解決の課題が依然として複数残されている。
米ホワイトハウスの大統領経済諮問委員会は8日、銀行業界が主張する大規模な預金流出リスクを定量的なデータに基づき否定するレポートを公開した。同委員会はステーブルコインの利回り禁止措置に対し、銀行融資の保護には事実上寄与しないとの見解を示しており、規制の在り方を巡る今後の議論に影響を与える可能性がある。