イランの石油・ガス・石油化学製品輸出業者連合の代表であるハミド・ホセイニ氏が8日に米フィナンシャル・タイムズ紙に語ったところによれば、イラン政府はホルムズ海峡を通過する石油タンカーに対し、1バレル当たり1ドルの通行料ををBTCを含む仮想通貨での支払いで徴収する方針だ。
タンカーの船主はイラン政府に対してメールで正確な積載量を報告し、イラン側がそれに基づいて通行料を決定する仕組みになる。積載量ゼロの空のタンカーは無料で海峡を通過できるという。
フィナンシャル・タイムズ紙によれば、ホルムズ海峡を通常往来するタンカーは50万~200万バレルの原油を積載していることから、満杯のスーパータンカーの場合、通行料が最大200万ドル近くに達する計算だ。
こうした措置が講じられる背景には、イランが米国の経済制裁下にあり、ドル体制への依存を減らし、資金凍結のリスクを軽減する狙いがある。
ホルムズ海峡周辺ではイランが過去1ヶ月、タンカーや他の船舶への攻撃を行い、通行を阻止していた。なお、海峡上空では無許可通過を試みる船舶は「破壊される」との無線通信が船舶に向けて発信されている。
ニュースが報じられた直後、主要な仮想通貨の相場は一時的に急騰した。ビットコイン( BTC )は昨夜72,000万ドル超に上昇したが、現在は71,342ドルで取引されている。イーサリアム( ETH )やソラナ( SOL )もそれぞれ7%以上の上昇幅を記録した。イランの通行料制度では仮想通貨の銘柄に関する指定はされていない。
ブロックチェーン分析企業Chainalysisが2025年に発表した調査によれば、イランの仮想通貨市場は2025年に78億ドル規模に達し、前年比で成長速度が加速した。この市場はイラン政府が支援するビットコイン採掘とステーブルコイン経済、および革命防衛隊(IRGC)による資金移動ネットワークで構成されている。
イラン市民の多くは年間インフレ率40~50%に対抗するため、また資産を防衛するために仮想通貨を活用しており、政府にとっては国際貿易決済と制裁回避の手段として機能している。
報道によれば、ホルムズ海峡の通行料制度では、仮想通貨または人民元での支払いが認められる。イランがこの新規制度を通じて米ドルへの依存を削減しようとしている意図は明白であり、特に国際貿易における決済基軸通貨としてのドル体制からの離脱を狙った戦略の一環と位置付けられる。